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2024.01.23

遺産相続における兄弟姉妹の相続割合は?よくあるトラブルと予防策も解説

遺産相続における兄弟姉妹の相続割合は?よくあるトラブルと予防策も解説

相続が発生すると兄弟姉妹間でトラブルが起きることは少なくありません。お金だけでなく、身近な家族への思いが関係することもあり、普段は良好な関係であっても揉めることもあるでしょう。

兄弟姉妹間での相続トラブルを防ぐためには、相続割合など相続における基本知識のほか、典型的なトラブルとその対策をあらかじめ知っておくことが大切です。

今回は、親の遺産相続における兄弟姉妹の基本の相続割合、兄弟姉妹の遺産相続における基本の相続割合、遺産相続の割合について兄弟姉妹で起きやすいトラブル、遺産相続の割合について兄弟姉妹で揉めないための対策などについて解説します。

相続人と法定相続分

相続人の相続割合である法定相続分は、法律で定められています。その割合は相続人の構成パターンなどによって異なります。主なパターンと各相続人の相続割合は以下のとおりです。

相続人の構成パターン それぞれの相続割合
配偶者と子 配偶者:1/2

子:1/2を子の人数で分割

配偶者と被相続人の親 配偶者:2/3

親:1/3

配偶者と兄弟姉妹 配偶者:3/4

兄弟姉妹:1/4を兄弟姉妹の数で分割

配偶者のみ 全て
子のみ 子の人数で分割
親のみ 全て
兄弟姉妹のみ 兄弟姉妹の数で分割

親の遺産相続における兄弟姉妹の基本の相続割合

まずは親が亡くなり、その子どもである兄弟姉妹が相続人である場合の相続割合について説明します。

1.配偶者が健在である場合

親の配偶者が健在である場合の相続割合は以下のとおりです。

相続人 相続の割合
配偶者 1/2
子ども 1/2を子どもの数で等分

たとえば、子どもが3人兄弟であった場合の各人の相続割合は、以下のようになります。

  • 配偶者:1/2
  • 子ども一人当たり:1/2×1/3=1/6ずつ

2.配偶者も既に亡くなっている場合

親の配偶者が既に亡くなっている場合、相続割合は兄弟姉妹の数で分割した割合です。

たとえば、兄弟が2人だった場合は1/2ずつ、3人だった場合は1/3ずつ、4人の場合は1/4ずつとなります。

3.養子や異母・異父兄弟がいる場合

養子にも相続権があります。相続できる割合は実子と同じです。

親の連れ子である異母・異父兄弟である場合は、被相続人と養子縁組をしていれば、実子と同じ割合で相続します。しかし、養子縁組をしていなければ、法律上、親子関係はないため、相続権がありません。

4.非嫡出子の兄弟姉妹がいる場合

非嫡出子であっても、被相続人と親子関係にある限り、実子と同じ割合で相続できます。

ただし、父親が認知をしていない場合は、法律上の親子関係を証明できないため、相続権はありません。被相続人の死後に、親子関係を認めてもらうには、家庭裁判所で死後認知を申し立てるという方法があります。

5.代襲相続が起こった場合

代襲相続とは、本来であれば相続人となる人が、被相続人よりも先に亡くなっていたために、その相続権が下の世代に移ることです。代襲相続が発生した場合、他の兄弟姉妹の相続割合は変わりませんが、代襲相続が発生したところは、本来の相続人が相続する割合を相続人の数で分割することになります。

たとえば、被相続人が父親で、本来であれば長男と次男が相続人であるケースについて考えてみましょう。長男は父よりも先に亡くなっており、2人の子どもA、Bがいたとします。

この場合、本来であれば、長男と次男がそれぞれ1/2ずつの割合で相続します。

しかし、代襲相続が発生したので、相続人は長男の子どもであるA、Bと次男です。その相続割合は、次男は変わらず1/2、長男の相続するはずだった1/2を2人の子どもで分けるため、AとBはそれぞれ1/4ずつ相続します。

兄弟姉妹の遺産相続における基本の相続割合

兄弟姉妹のうちの誰かが亡くなり、その人に子どもも親もいなければ、兄弟姉妹が相続人となります。この場合の相続割合について解説します。

1.亡くなった兄弟に配偶者がいる場合の各人の相続割合

兄弟姉妹が亡くなった場合、各人の相続割合は、亡くなった方に配偶者がいるかどうかで異なります。

配偶者がいる場合の相続割合は、以下のとおりです。

相続人 相続の割合
配偶者 3/4
兄弟姉妹 1/4を兄弟姉妹の数で分割

たとえば、相続人が配偶者と、3人の兄弟姉妹であれば、それぞれの相続分は以下のようになります。

  • 配偶者:3/4
  • 兄弟姉妹一人あたり:1/4×1/3=1/12

2.亡くなった兄弟に配偶者がいない場合の各人の相続割合

亡くなった方に配偶者がいない場合、相続人は兄弟姉妹のみです。

相続割合は兄弟姉妹の数で等分した割合になります。たとえば、残された兄弟姉妹の数が2人なら1/2ずつ、3人なら1/3ずつです。

3.異母・異父兄弟がいる場合

兄弟姉妹が亡くなった場合、異母・異父兄弟にも相続権はあります。しかし、その割合は両親とも同じ兄弟の1/2と少なくなります。

たとえば、A、B、Cの3人兄弟がいたとして、Cが異母兄弟、Aが亡くなったとしましょう。Aには配偶者はいなかったとします。この場合、Bの相続割合は2/3、Cの相続割合は1/3とBの半分になります。

4.代襲相続が発生した場合

先に亡くなっている兄弟姉妹がいる場合は代襲相続が発生します。この場合、他の兄弟姉妹の相続割合は変わりませんが、代襲相続が発生したところは、本来の相続人が相続する割合を相続人の数で分割します。

たとえば、D、E、F、Gという兄弟がいて、Dが亡くなったとしましょう。Dには配偶者も子どももいなかったとします。さらに数年前にEが先に亡くなっており、Eにはa、b、cという子どもがいたとします。

この場合、相続人は、FとG、Eの子であるa、b、cです。それぞれの相続割合は以下の通りとなります。

  • F:1/3
  • G:1/3
  • a、b、c:1/3×1/3=1/9ずつ

遺産相続の割合について兄弟姉妹で起きやすいトラブル

遺産相続では、特に兄弟姉妹間でトラブルが起きることが多いです。ここでは、兄弟姉妹間でよくあるトラブルを紹介します。

1.不動産の相続方法を巡り争いが起きる

遺産に不動産が含まれると、争いが起きるケースが多いです。不動産は価値が高い財産であるうえ、平等な分割が難しいからです。遺産が不動産しかない場合は特に揉める可能性が高いでしょう。

2.生前贈与を受けた兄弟姉妹がいて揉める

被相続人の生前に贈与を受けた兄弟姉妹がいる場合、遺産分割における扱いがわからないために争いが起きるケースが多くあります。

3.親の面倒を見たことを理由に寄与分を主張する人がいる

親の介護や看病をしたことを理由に、自分の相続割合を多くしてほしいと主張する人がいることでトラブルに発展するケースも珍しくありません。特に相続割合や金額について、どのように考えればよいのかがわからず、協議の着地点が見えなくなります。

4.遺言書の内容が不平等で不満がある

遺言書の内容が「長男に全財産を譲る」など不平等なものであった場合、他の兄弟姉妹が納得できず、争いになる可能性があります。

5.兄弟姉妹の意見がまとまらない

特に実家など思い入れのある財産があると、兄弟姉妹で意見が分かれ、なかなか遺産分割協議が進まないケースも多くあります。

遺産相続の割合について兄弟姉妹で揉めないための対策

兄弟姉妹で遺産相続について揉めないためには、あらかじめ相続についての知識を身につけておいたり、トラブルの対処法を知っておいたりすることが有効です。ここでは、兄弟姉妹での争いを防ぐための対策を紹介します。

1.不動産の分割方法を知っておく

不動産の相続トラブルは、その分割方法を知っておくことで解決できる場合も多くあります。不動産の分割方法には、以下の4つの方法があります。

  • 現物分割:たとえば、長男は不動産、次男は預金、など、そのままの形で相続する。
  • 代償分割:代償金の支払いと引き換えに、特定の相続人が相続する。
  • 換価分割:売却して、その売却金を分割する。
  • 共有分割:全員で共有する。

どの方法を採用するかは、兄弟姉妹でよく話し合いましょう。

2.「特別受益」の考え方を知っておく

特定の相続人が生前贈与を受けていた場合は、「特別受益」として相続財産に持ち戻して考えます。この考え方を知っておくことで、平等な遺産分割が実現しやすくなり、兄弟姉妹での争いごとを解決できるケースも多いでしょう。

3.「寄与分」について知っておく

「寄与分」とは、被相続人の財産の維持や増加に貢献した相続人が、遺産分割の際に考慮してもらえるという制度です。親の介護や看病をよくした相続人には、少し多めに分割するなど、相続の割合を決めるうえで寄与分を加味するとよいでしょう。

4.親に遺言書を作成しておいてもらう

遺産分割協議で揉めないためには、被相続人が遺言書を作成しておくのが有効です。遺言書があれば、その内容が何より優先されるからです。特に相続人の間で争いが起きることが予想される場合は、遺言書を作成してもらうようにしましょう。

5.遺留分の請求権について知っておく

遺言書の内容があまりに不公平な内容である場合、利益を得られなかった相続人は受遺者に対して遺留分を請求できます。遺留分とは、相続人が最低限受け取れると保証された遺産のことです。遺留分の割合は、本来の相続割合よりは低くはありますが、少しは受け取れることで不満も和らぐでしょう。

6.第三者に間に入ってもらう

兄弟姉妹で相続争いが起きた場合、専門家など第三者に間に入ってもらうのも有効です。第三者が入ることで、冷静に話しやすくなり、協議も進行しやすくなるでしょう。裁判所の調停手続きを利用するのも賢明な方法です。

まとめ

今回は、親の遺産相続における兄弟姉妹の基本の相続割合、兄弟姉妹の遺産相続における基本の相続割合、遺産相続の割合について兄弟姉妹で起きやすいトラブル、遺産相続の割合について兄弟姉妹で揉めないための対策などについて解説しました。

遺産相続では、兄弟姉妹でのトラブルが起きやすいですが、相続割合などの基本知識や、典型的なトラブルとその対策をあらかじめ知っておくことで、予防できる場合もあります。

トラブルが起きてしまった場合は、専門家に間に入ってもらうことも有効です。

当社では、不動産相続に関するさまざまな相談に対応しております。兄弟姉妹での不動産相続を巡るトラブルの相談などにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一