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2024.10.15

高齢の母が戸建てで一人暮らしを続けるリスクと対処法

高齢の母が戸建てで一人暮らしを続けるリスクと対処法

親と離れて暮らす子どもにとって、実家で一人暮らしをする親のことは心配事の一つです。

遠方に住んでいる場合、様子を見に帰ることがあまりできず、もどかしい思いをされている方も多いでしょう。

今回は、高齢の母が戸建てで一人暮らしを続けるリスク、一人暮らしに代わる選択肢、高齢の母に施設への入居を納得してもらうための対処法などについて解説します。

高齢の母が戸建てで一人暮らしを続けるリスク

高齢の親の一人暮らしには以下のようなリスクが考えられるでしょう。

1.病気や怪我

高齢になれば、病気や怪我のリスクは必然的に高まります。特に2階建て以上の戸建てに住んでいる場合、家の中の階段などの段差によって、膝の痛みなど慢性的な傷病や転倒などのリスクがあるでしょう。

しかし、高齢の女性の中には我慢強い方も多く、病院に行かずに治るのを待つという方も少なくありません。症状がかなり悪化するまで放置するケースもあります。

また、認知症を発症しても気づかれず、周囲に迷惑をかけてしまう可能性もあるでしょう。

2.家事がおろそかになる

掃除や洗濯などの家事労働には、体力が必要です。高齢化とともに体力が衰えたり、体に痛みが出てきたりすると、これまで通りにはできなくなることもあるでしょう。家事がおろそかになると、家の中を清潔に保てなくなる可能性があります

料理をすることも面倒になり、偏った食生活になったり、食事の回数が減ったりする場合もあるでしょう。その結果、栄養不足になり、健康を損なうおそれもあります。

3.服薬管理ができないなどの健康に関する問題

高齢になると、記憶力も低下します。管理してくれる人がいなければ、薬を適切に服用できないケースもあるでしょう。薬の飲み忘れや過剰摂取の結果、持病が悪化するなど健康問題が起こりやすくなります。

4.火の不始末や戸締りのし忘れ

高齢になると、出かける前や就寝前に日常的に行なっていたことができなくなることがあります。そのため、火の不始末により火事を起こしたり、戸締りのし忘れにより事件に巻き込まれたりするリスクが高まります。特に火の不始末は命に関わるため、心配な場合は早急に対応することが望ましいでしょう。

5.犯罪に巻き込まれやすい

近年、高齢者でもほとんどの方がスマートフォンを所持しています。連絡が取りやすくなるなどのメリットがある一方、サイバー犯罪に巻き込まれるリスクもあり、注意が必要です。特に高齢者はデジタルに弱い方や情報リテラシーの低い方も多いため、ネットを通じた詐欺事件の被害に遭うリスクがあります。

また、体力や注意力が低下してくるため、ひったくりや強盗などのターゲットにもなりやすいでしょう。家族と同居していたり、同行してもらったりしていれば防げる犯罪に巻き込まれる可能性があります。

高齢の母の一人暮らしに代わる選択肢

高齢者の一人暮らしにはリスクが伴います。中には命に関わる深刻なものもあり、いつまでも放っておくわけにはいきません。できる限り早急に、今後のことを検討することが望ましいでしょう。一人暮らしに代わる選択肢を紹介します。

1.同居する

常に親の様子を見られて安心なのは同居です。

ただし、気遣いや、価値観、金銭感覚の違いによって、お互いに強いストレスを感じることなどが懸念され、実際に同居に踏み切る世帯は多くはありません。

また、親が住み慣れた土地を離れたがらず、同居を望まないケースも多くあります。

2.賃貸住宅に近居する

近くに住んでいれば、頻繁に様子を見に行けますし、何かあった場合も安心です。同居と違ってお互い自由に過ごせるため、近くに親を呼び寄せるという方もいらっしゃいます。病院や商業施設が近いエリアの、バリアフリー対応でセキュリティ面も安心な物件を選べば、親も快適に暮らせるはずです。

しかし、常に親の様子を見守れるわけではないため、ある程度のリスクは残ります。

3.介護施設や高齢者向け住宅に入居してもらう

通いやすいエリアの介護施設に入居してもらえば、常に誰かの目があるので安心です。

介護施設には、介護付きのものから自立した生活ができる方向けのものまで、さまざまなタイプがあり、親の状態に合わせて選べます。サービス付き高齢者向け住宅など、見守りサービス付きで自由度の高い生活ができる施設もあるため、まだまだ元気な親でも快適に暮らせるでしょう。

高齢者向け住宅や介護施設にかかる費用の目安

「同居は難しい」「近くに住んでいるけれど、親の一人暮らしは不安が尽きない」という場合、常に見守りの目のある介護施設やサービス付き高齢者向け住宅に入居してもらうと安心です。しかし、その場合、最も気になるのは費用のことでしょう。

介護施設は、その種類や、民間施設か公的施設かによってかかる費用が大きく異なります。公的施設の一つである特別養護老人ホームの場合は、月額15万円程度が目安となるでしょう。

入居できる施設は、本人の介護度や認知症の程度などによるため、本格的に検討する場合は、地域包括支援センターや高齢者総合相談センターなどに相談するとよいでしょう。

高齢の母に施設への入居を納得してもらうための対処法

介護施設というと「自由がない」「家族から見放された」など、ネガティブなイメージが先行し、入居を嫌がる方もいらっしゃいます。親が入居を嫌がる場合はどうすればよいのでしょうか。

1.楽しみは奪われないことを理解してもらう

高齢の方の中には、毎日の生活の中に楽しみを見出し、生きがいにしている方も多いです。趣味や友人とのランチなど、さまざまなことを楽しんでいるでしょう。介護施設へ入居してしまうと、そのような楽しみを奪われてしまうことから入居を嫌がる方もいらっしゃいます。

そのような場合は、施設に入居後も何らかの形でこれまで楽しんでいたことを続けられる可能性があることを伝えるとよいでしょう。例えば、サークル活動を行なっていたり、展示会など作品を披露する場があったりする施設もあります。また、定期的にレクリエーションを行なっている施設であれば、入居者同士の交流によって新しい友人ができる可能性もあるでしょう。そのような情報を少しずつ伝えることで、徐々に受け入れてもらえるかもしれません。

2.一昔前の老人ホームとは違うことを知ってもらう

老人ホームというと、一昔前の「暗い」「集団生活を強制される」「現代の姥捨山」というようなイメージがあるために、頑なに入居を拒否する方もいらっしゃいます。そのような方には、現在の施設の実情について知ってもらうとよいでしょう。

可能であれば、実際に施設見学に行くのがベストですが、難しい場合は、一緒にパンフレットを読むことから始めるのも良い方法です。正しい情報を得ることで、ネガティブなイメージの払拭を図りましょう。

3.第三者の協力を仰ぐ

家族による説得が難しい場合は、施設に協力を仰ぎましょう。自ら進んで入居する方はほとんどいないため、施設のスタッフは本人が拒否しているケースも数多く経験しているはずです。本人が乗り気になってくれる方法を一緒に考えてくれるでしょう。

また、家族の話は初めから拒否しても、ケアマネージャーなど第三者の話に対しては聞く耳を持つ方もいらっしゃいます。

高齢の母が一人暮らししていた戸建てはどうする?

母親が自宅から離れた後、空き家になった家はどうすればよいのでしょうか。空き家になった後の対処法について説明します。

1.長期間放置しないことが大切

母親が自宅から離れた後、誰も住まなくなった家を長期間放置しないよう早めに対策を考えることが大切です。放置している間にも固定資産税がかかりますし、定期的に掃除や管理をしなければ急速に老朽化が進むからです。

家が損壊したり、衛生状態を保てなかったりすれば周辺地域に迷惑をかける可能性もあるでしょう。放置を続けて、自治体に「特定空き家」に指定された場合、固定資産税が6倍になったり、過料が科せられたりするリスクもあります。

2.売却する

誰も住まず、空き家になる可能性が高い場合、売却を検討するとよいでしょう。売却すれば、維持管理費や固定資産税による出費を回避できるだけではなく、売却金を介護費用や施設入居費用などに充てられます。

ただし、地域や不動産の状態によってはニーズがなく、売却が難しいケースもあるでしょう。そのような場合は買い取りを検討するのも一つの方法です。

3.賃貸物件にするなどして活用する

「思い出のある実家を手放したくない」などという場合は、賃貸物件にして活用してもよいでしょう。最近では古民家や地方移住が人気であり、借り手が見つかる可能性はあります。

ただし、あまりに老朽化が進んだ物件であれば、リフォームが必要かもしれません。リフォームを検討する場合は専門業者に相談しながら進めるとよいでしょう。

まとめ

今回は、高齢の母が戸建てで一人暮らしを続けるリスク、一人暮らしに代わる選択肢、高齢の母に施設への入居を納得してもらうための対処法などについて解説しました。

高齢の母親の戸建てでの一人暮らしは多くのリスクが伴います。子どもとしては心配なので何らかの対策をしたいでしょう。具体的には同居や近居、施設への入居などが考えられますが、ベストな方法はご家族の状況や考え方などによって異なるので、本人を含めてよく話し合って決めましょう。

また、母親が施設に入居した後、家が空き家になる場合は、放置しないように注意してください。空き家のまま放置するとさまざまなデメリットがあるので、できる限り早めに売却や活用について検討することが望ましいでしょう。その際は、信頼できる不動産業者に相談しながら進めることが大切です。

当社では、不動産に関するさまざまな相談に対応しております。親が施設に入居して空き家になってしまった家の対処法などに関する相談にも応じておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一