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2023.04.21

不動産相続手続きの必要書類と入手方法・費用や期限も紹介

不動産相続手続きの必要書類と入手方法・費用や期限も紹介

相続した不動産の名義変更の手続きをするためには、必要書類の準備から始める必要があります。相続の名義変更手続きの際に必要な書類は、どのように相続するかによって異なります。役所等で取得しなければならない書類も多く、全て揃えるのに少々時間を要するでしょう。

今回は、不動産相続手続きの必要書類、不動産相続手続きに必要な書類の概要と入手方法、不動産相続登記手続きにかかる費用、不動産相続登記手続きの期限、不動産相続登記手続きを自分で行う場合の流れなどについて解説します。

不動産相続手続きの必要書類一覧

一般的に相続不動産の名義変更手続きの際に必要な書類は以下のとおりです。
法定相続分どおりに相続する場合や、相続人が一人しかいない場合は、これらの書類を揃えれば足りるでしょう。

必要書類 チェック
登記申請書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票除票
相続人全員の戸籍謄本
当該不動産を相続する人の住民票
当該不動産の固定資産評価証明書
収入印紙

1.遺産分割協議による相続の場合

相続人全員での遺産分割協議を経て、誰が不動産を相続するか決めた場合は、上記の書類に加えて、遺産分割協議書と相続人全員分の印鑑証明書が必要です。

必要書類 チェック
登記申請書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票除票
相続人全員の戸籍謄本
当該不動産を相続する人の住民票
当該不動産の固定資産評価証明書
収入印紙
遺産分割協議書
相続人全員分の印鑑証明書

2.裁判所の調停手続きを利用した場合

当事者同士の遺産分割協議では話がまとまらず、家庭裁判所の調停手続きを利用した場合は、裁判所より交付された調停調書を添付します。

必要書類 チェック
登記申請書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票除票
相続人全員の戸籍謄本
当該不動産を相続する人の住民票
当該不動産の固定資産評価証明書
収入印紙
調停調書

審判手続きに移行した場合は調停調書の代わりに審判謄本を添付する必要がありますが、遺産分割協議書や相続人全員分の印鑑証明書は不要です。

3.遺言書による相続の場合

遺言書で指定された法定相続人が相続する場合に必要な書類は以下のとおりです。

必要書類 チェック
登記申請書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票除票
相続人全員の戸籍謄本
当該不動産を相続する人の住民票
当該不動産の固定資産評価証明書
収入印紙
遺言書

4.遺言書によって法定相続人以外の人が相続する場合

遺言書で不動産の相続を指定されたのが法定相続人以外の人であった場合は、遺言執行者が選任されたかどうか、選任された場合は遺言書内で指定されていたのか、裁判所手続きで選任したのかによって用意すべき書類が変わります。

遺言執行者とは、遺言書で残された内容を実現する人のことです。必ず選任しなければならないものではなく、法定相続人以外の第三者に遺贈したり、遺言で指定された内容が複雑であったりする場合など、遺言内容が確実に実現されるか不安な場合に選任されることが多いでしょう。

必要書類 チェック
登記申請書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
被相続人の住民票除票
相続人全員の戸籍謄本
当該不動産を相続する人の住民票
当該不動産の固定資産評価証明書
収入印紙
遺言書
・(遺言執行者が選任されなかった場合)法定相続人全員分の印鑑証明書
・(遺言執行者が遺言書で指定されていた場合)遺言執行者の印鑑証明書
・(遺言執行者が家庭裁判所の審判手続きで指定された場合)遺言執行者選任審判謄本 □

5.相続人の中に相続放棄をした人がいる場合

法廷相続人の中に相続放棄をした人がいる場合は、上記の書類の他に、相続放棄をした人の「相続放棄申述受理証明書」が必要です。相続放棄をした本人から提供を受けられなくても、相続人や利害関係人が家庭裁判所に申請すれば取得できます。

不動産相続手続きに必要な書類の概要と入手方法

不動産の相続手続きに必要な書類を紹介しましたが、耳慣れないものもあり、どうやって入手すればよいのかわからないという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ほとんどの書類は役所で簡単に取得できます。ここでは不動産相続の手続きに必要な書類の概要と入手方法について紹介します。

1.戸籍謄本

戸籍謄本とは「戸籍全部事項証明書」と呼ばれることもあります。戸籍は夫婦と未婚の子どもから成り、戸籍謄本には戸籍に登録されている全員分の出生事項や婚姻事項といった身分事項のほか、生年月日や父母の氏名と続柄なども記載されています。

① 入手方法

戸籍謄本は、本籍地の市区町村役場で備え付けの申請用紙に記入、提出すれば取得できます。費用は1通あたり450円です。基本的に本人しか取得できず、窓口では運転免許証や保険証などの身分証明書の提示を求められるでしょう。本人以外が申請、取得したい場合は委任状が必要です。

また、本籍地が遠方の場合は郵送で請求もできます。市区町村役場の公式サイトから申請書をダウンロードして記入し、450円分の定額小為替と、切手を貼付した返信用封筒を添付して送りましょう。定額小為替は、郵便局の貯金窓口かゆうちょ銀行で購入できます。
本籍地がわからない場合は、住民票を取得すれば確認できます。

② 出生から死亡までの全ての戸籍謄本類とは

被相続人については出生から死亡に至るまでの全ての戸籍謄本類が必要です。これは文字通り、出生届を出してから死亡届を提出するまでの全ての戸籍を指します。

実は、戸籍謄本が1通しかない人は非常に稀です。婚姻によって親の戸籍から抜けて、新しく戸籍を作ったり相手の戸籍に入籍したりするからです。また、戸籍法の改正によって自動的に新しく戸籍が作り直されることもあります。人によっては転籍を繰り返している場合もあるでしょう。

相続手続きにおいては、被相続人が生きているうちに編成された全ての戸籍が必要になります。場合によっては複数の役所で取得する必要があるでしょう。申請の際は証明が必要な人の名前と併せて「出生から死亡に至るまで全て」などと書いておくとスムーズです。

2.住民票・除票

住民票とは居住関係を証明するものです。居住地の市区町村役場で取得でき、住民の氏名や住所、生年月日のほか、世帯主の氏名、世帯主との続柄、本籍地、前住所などが確認できます。取得費用は各市区町村役場によって異なりますが、300円程度のところが多いでしょう。

また、除票とは死亡や転出などによって住民登録が抹消されたもののことをいいます。保存期間が限られており、5年未満のものしか取得できません。

3.印鑑証明書

印鑑証明書とは、市区町村役場で登録された印鑑が本物であることを証明する書類です。基本的に住民登録している市区町村役場で登録されており、請求先も住民票と同じ市区町村役場になります。取得費用は1通あたり300円です。マイナンバーカードがあればコンビニでも取得でき、その場合は200円で発行できます。

4.固定資産評価証明書

固定資産評価証明書とは、土地や建物など固定資産税の対象となる不動産の評価額を証明する書類です。不動産の所在地の市区町村役場で取得できます。取得費用は市区町村によって異なりますが、1通あたり300円程度のところが多いでしょう。

また、申請書には所有者の氏名や住所の他、対象不動産の住所、土地の場合は地番や地積、建物の場合は家屋番号や構造、床面積などの記入が必要です。これらは不動産の権利証などで確認できるほか、わからない場合は不動産所在地の法務局で不動産登記事項証明書を取得すれば確認できます。

5.相続登記申請書

相続登記申請書は書式が定められているわけではなく、自分で自由に作成してかまいません。ただし、下記の事項が記載されている必要があります。

  1. 登記の目的:「所有権移転」(被相続人が全部所有している場合)または「持分全部移転」(被相続人の他にも所有者がおり、共有持ち分である場合)と記載
  2. 登記の原因:被相続人の死亡日を記載のうえ、「相続」と記載
  3. 被相続人の名前
  4. 相続人の名前・住所・電話番号
  5. 添付書類:「登記原因証明情報」「住所証明情報」と記載
  6. 登記識別情報の通知希望
  7. 申請日・管理法務局
  8. 課税価格・登録免許税
  9. 不動産の表示:登記事項証明書どおりに記載

なお、法務局公式サイト内の下記のページからダウンロードできる書式を利用することも可能です。

参考サイト:不動産登記の申請書様式について(法務局公式サイト)

6.収入印紙

登録免許税に相当する金額分の収入印紙を準備します。収入印紙は郵便局窓口やコンビニなどで購入可能ですが、登録免許税は高額になるケースも多いため、郵便局か、法務局にある収入印紙売り場で購入する方がよいでしょう。

不動産相続登記手続きにかかる費用

不動産の相続登記手続き時に必ずかかる登録免許税の計算方法のほか、司法書士に依頼した場合にかかる費用の相場について紹介します。

1.登録免許税

登録免許税は下記の計算式で算出します。

登録免許税=固定資産税評価額×0.4%

固定資産税評価額は、前出の「固定資産税評価証明書」を参照すれば確認できますし、役所から毎年郵送されてくる「納税通知書」でも確認できます。

2.司法書士に依頼する場合

司法書士に依頼すれば、相続登記申請書の作成や添付書類の取得から、法務局への提出まで全て任せられます。その際の司法書士報酬の目安は6~10万円程度でしょう。

不動産相続登記手続きの期限

相続不動産の名義変更手続きはいつまでに行えばよいのか、少々不安になる方もいらっしゃるでしょう。ここでは手続きの期限について説明します。

1.2023年現在は期限がない

2023年現在、不動産の相続登記の期限は定められていません。義務でもないため、いつまでも名義変更手続きを行わずに放置しておいても特にとがめられることはありません。

2.2024年4月1日以降は3年以内

2024年4月1日以降は、法改正により不動産の相続登記が義務化されます。さらに期限も設定され、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権の取得をしたことを知った日から3年以内」に行わなければなりません。さらに、正当な理由なく期限を過ぎた場合は10万円以下の科料が科せられるというペナルティもあります。

不動産相続登記手続きを自分で行う場合の流れ

自分で不動産相続登記の手続きを行う場合は以下の手順で進めましょう。

1.遺言書の有無の確認

まずは被相続人が遺言書を残していないかどうか確認しましょう。遺言書の有無によってその後の相続手続きの進め方が大きく変わります。
遺言書がある場合は、この記事で紹介した必要書類を揃えて相続登記の申請をすれば完了です。遺言書がない場合は、次の手順に従って進めましょう。

2.相続人調査・財産調査

遺言書が残されていなかった場合は、相続人と相続財産を調査し、特定します。相続人調査は、誰が相続人なのか明らかだと思っても、必ず戸籍謄本類を収集した上で行いましょう。後になって思わぬところから相続人が現れると手間と時間がかかるからです。
また、どのような遺産がどれくらいあるのかについてもよく調査しましょう。

3.遺産分割協議

相続人と財産が明らかになったら、相続人全員で遺産分割協議を行います。誰がどの財産を取得するのか、どのような割合で分割するのかなどを相続人同士で話し合って決めましょう。

4.管轄法務局の確認

相続内容が決まったら、名義変更申請をする法務局を確認しましょう。申請先は不動産の所在地を管轄する法務局です。管轄の法務局は、下記のページで調べられます。

参考サイト:管轄のご案内(法務局公式サイト)

5.法務局へ申請

この記事で紹介した内容を参考に、必要書類を準備し、法務局へ提出、申請します。
申請方法は直接法務局に赴いて窓口に提出することも可能ですが、遠方の場合や開局時間内に訪れるのが難しい場合は郵送で行うこともできます。その場合は、追跡ができるよう、書留か「レターパックプラス」を利用するとよいでしょう。

まとめ

今回は、不動産相続手続きの必要書類一覧をケース別に紹介し、さらに不動産相続手続きに必要な書類の概要と入手方法、不動産相続登記手続きにかかる費用、不動産相続登記手続きの期限、不動産相続登記手続きを自分で行う場合の流れなどについて解説しました。

不動産相続手続きに必要な書類は、どのように相続するかによって異なります。
また、必要書類は役所で取得せねばならないものがほとんどで、遠方の場合や書類の数が多い場合は準備に時間を要する可能性もあります。必要書類を確認のうえ、不明点がある場合は専門家に相談し、速やかに手続きを進めましょう。

当社では、不動産相続に関するさまざまな相談に対応しております。「不動産を相続したけれど売却するべきか迷っている」「相続した不動産の評価額を知りたい」などという相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一