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2023.06.16

不動産相続の相談先は?無料で相談できる機関も紹介

不動産相続の相談先は?無料で相談できる機関も紹介

不動産を相続した際は、「手続きが複雑で進め方がわからない」、「遺産分割協議中に相続人の間で揉め事が発生した」など、専門家のサポートが必要な場面が多々あります。
しかし、「どこに相談すればよいかわからない」という方も多いのではないでしょうか。

今回は、不動産を相続した際の手続きについて説明した上で、相談内容別に相談先を紹介します。無料で相談できる機関も紹介しますので、ご自身の状況に応じて活用してください。

不動産を相続した際にやるべきことと手続きの流れ

まずは不動産を相続した際にやるべきことと手続きの流れについて説明します。

1.遺言書の有無を確認

初めに被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認しましょう。遺言書の有無によって、その後の手続きの流れが大きく異なるため、最初に確認しておくことが大切です。

2.相続人調査

遺言がない場合は、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本類を取得して、相続人を調査しましょう。
「親族のことだし、わざわざ調べなくてもわかる」と思う方も多いようですが、改めて正式な手順を踏んで調査する必要があります。全ての相続手続きが完了した後に、思わぬところから相続人が現れて、最初からやり直しとなるケースもあるからです。

3.財産調査

相続が発生したら、被相続人が残した遺産の詳細を調査する必要があります。預金や不動産、株式などのプラスの財産だけでなく、債務などのマイナスの財産も含めた全ての財産を把握することが大切です。全ての財産を把握したら、各財産の評価額を調べましょう。評価方法は、国税庁公式サイト内の以下のページで紹介されています。

遺産に不動産が含まれている場合は、評価額の算出が難しいケースも多いので、専門家に相談することをおすすめします。
参考URL:財産評価(国税庁公式サイト)

4.遺産分割協議で誰がどの遺産を相続するのか決定

相続人と遺産の詳細を把握した後は、誰がどの遺産を相続するのかを決めます。

①遺言があればその内容に従う

被相続人が遺言書を残している場合は、原則としてその内容に従って相続します。ただし、相続人全員が同意すれば、遺言書に記載の内容と異なる方法で相続してもかまいません。

②遺言がなければ遺産分割協議

遺言書がなければ、相続人調査によって発覚した相続人全員で、遺産分割について協議します。このとき、相続人が一人でも欠けてはいけません。全員の同意を得られていない内容は無効です。相続人に未成年や認知症などで判断能力があるとはいえない方が含まれる場合は、成年後見人を立てる必要があるので注意しましょう。

遺産分割協議で決まった内容は、遺産分割協議書に記載します。遺産分割協議書は後の相続手続きでも必要となるので、必ず作成してください。

③不動産の分割方法は4種類

遺産分割協議では、不動産の分割方法も決めます。不動産の分割方法には、以下の4種類があります。どの方法を取るかは、相続人で話し合って決めましょう。

  • 現物分割:不動産をそのままの形で分ける方法で土地のみに用いられる
  • 代償分割:特定の相続人がそのまま取得し、他の相続人には代償金を支払う方法
  • 換価分割:不動産を売却し、売却金を相続人で分割する方法
  • 共有:不動産をそのまま残し、相続人全員の共有名義とする方法

5.相続登記

不動産の相続人が決まったら、法務局で相続登記手続きを行います。不動産の所在地を管轄する法務局に、登記申請書や被相続人の戸籍謄本類、不動産の登記簿謄本などの必要書類を提出して申請しましょう。

また、登記申請時には、登録免許税の納付も必要です。登録免許税の計算方法については、法務局公式サイトの以下のページで紹介されているので参考にしてください。

参考URL:登録免許税の計算(法務局公式サイト)

6.相続税の納付

遺産の総額が、相続税の基礎控除額以上になる場合は、相続税の納付が必要です。相続税の基礎控除額は以下の計算式で求められます。

相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

この額を超える場合は、相続が開始したことを知った日の翌日から10カ月以内に、相続税の申告と納付をしなければいけません。

相続税の申告は自分で行うこともできます。しかし、遺産に不動産が含まれる場合は、適用できる可能性のある特例の種類が多く、専門知識が必要なケースも多いため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

7.売却または活用

相続した不動産をどうするかは、取得した相続人次第です。誰も居住しないなら、売却や何らかの方法での活用を検討するとよいでしょう。

ただし、空き家のまま長く放置するのはおすすめできません。自治体から特定空き家に指定されると、固定資産税が最大で6倍になったり、罰金を科されたりする可能性もあるので、早めに対処しましょう。

相談内容別・不動産相続に関する相談先

不動産相続に関する相談先は、相談したい内容や状況によって異なります。相談内容ごとに適切な相談先を紹介します。

1.相続人同士の争いに関する相談先は弁護士

不動産の相続人や分割方法について相続人同士で揉めている場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士に依頼すれば、代理人として他の相続人と交渉してもらえます。法律的な観点から論理的に主張してもらえるので、相続人全員が納得できる形で話がまとまる可能性が高まります。

それでも話がまとまらず、調停や審判などの裁判所手続きを利用することになった場合も全てを任せられるので安心です。

2.登記手続きに関する相談先は司法書士

相続登記手続きについて相談したいなら、司法書士に相談するとよいでしょう。
司法書士は登記業務の専門家です。相続人や不動産の数が多い、前の代で未登記のままにされているなどの複雑な登記手続きも任せられます。

また、相続人や財産調査の依頼も可能です。弁護士に依頼するよりも費用を安く抑えられることも多いため、相続人同士で特に争いがなく、遺産分割協議がスムーズに進んだ場合は相談を検討するとよいでしょう。

3.相続税の申告や節税に関する相談先は税理士

相続税の申告や節税対策に関することは税理士に相談することをおすすめします。
特に不動産の課税評価額の算出は難しく、間違えれば相続税が数百万円変わる可能性もあります。専門家である税理士に依頼すれば、複雑な不動産でも適切に評価額を求めてもらえるため、損をする心配がないでしょう。

さらに、控除や特例などを正しく適用することができるため、効果的な節税につながります。また、税理士に相続税の申告を任せれば、適正に申告してもらえるため、追徴課税や税務調査を回避できるというメリットもあります。

4.相続した不動産の売却に関する相談先は不動産会社

相続した不動産の売却に関することは不動産会社に相談しましょう。不動産会社に相談すれば、売却額を査定してもらえます。また、売却にかかる期間、取り壊しなど売却に関すること全般について教えてもらえます。

ただし、これらの相談に対する回答内容は、不動産会社によって異なるケースも多いです。実際に売却を任せる際は、複数の不動産会社に相談し、アドバイスの内容やその対応を見て決めることをおすすめします。

不動産相続についての無料相談機関

不動産相続に関するさまざまな問題について、無料で相談できる機関もあります。相続手続きにあまり費用をかけたくない場合は、上手に活用するとよいでしょう。

1.一般的な法律問題なら市区町村役場の法律相談会

市区町村役場では、定期的に弁護士による無料法律相談会を開催しています。相談時間は30分程度と短いため、個別のケースについて具体的なアドバイスを受けることは難しいかもしれません。一般的な法律知識について知りたいなどの相談に活用するとよいでしょう。

また、開催は不定期であり、予約が必要な場合もあります。市区町村の公式サイトなどで事前に確認した上で利用しましょう。

2.利用要件を満たす場合は法テラス

弁護士や司法書士に相談や依頼をしたいけれど、経済的に困窮しているために費用が支払えないという場合には、法テラスの利用を検討しましょう。

法テラスでは、民事法律扶助制度を実施しており、利用要件を満たせば弁護士や司法書士に無料で相談できたり、依頼する場合の費用を立て替えてもらえたりします。
利用要件は以下の法テラス公式サイトに掲載されているほか、電話や窓口でも確認できます。

参考URL:無料の法律相談を受けたい(法テラス公式サイト)

3.相続登記に関する相談なら法務局

法務局では窓口で、無料で登記に関する相談ができます。相談時間は20分程度と短く、予約制です。申請書の書き方や申請に必要な書類についての相談に活用するとよいでしょう。また、相談できるのは、原則として相続不動産の所在地を管轄する法務局です。管轄外の法務局では相談できない場合もあるため、事前に確認しましょう。

参考URL:法務局・地方法務局所在地一覧(法務省公式サイト)

4.相続税に関する一般的な相談は市区町村役場の税務相談窓口

相続税が発生するかどうかなど、相続税に関する一般的な相談なら、役所の税務相談窓口でも受け付けています。税理士が対応してくれますが、相談時間は30分程度と短く、相続税の申告を多く扱う税理士が担当するとは限らないため、個別の具体的な相談には向きません。また、予約制の場合も多いため、相談を希望する場合は、事前に各市区町村の公式サイトを確認しましょう。

まとめ

今回は、不動産を相続した際にやるべきことや手続きの流れ、不動産相続に関する相談先などを紹介しました。

不動産相続に関する適切な相談先は、相談内容によって異なります。専門家に相談する前に、まずは不動産を相続した際に必要な手続きを把握して、何を行う必要があるのかを確認しましょう。その上で相談先を選び、上手に活用することが大切です。

当社では、不動産相続に関するさまざまな相談に対応しております。「相続した不動産の評価額を知りたい」「不動産を相続したけれど売却すべきなのか迷っている」などという相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一