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2024.09.27

不整形地とは?代表的な種類や評価方法などの基本知識を解説

不整形地とは?代表的な種類や評価方法などの基本知識を解説

長方形や正方形などの形に区画整理されていない土地を「不整形地」といいます。その評価方法は複数あり、区画整理をされた土地よりも複雑な計算が必要となります。

相続した土地が不整形地であることを知り、不整形地について詳しく知りたいと思って調べている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、不整形地の定義、代表的な種類や評価方法、不整形地を相続した場合の注意点などについて解説します。

不整形地とは

まずは不整形地とはどのような土地なのか確認しておきましょう。

1.不整形地と整形地との違い

土地はその形状から、整形地と不整形地の大きく2種類に分類されます。

【形状で分けた土地の種類】

  • 整形地:長方形、正方形の、形の整った土地
  • 不整形地:整形地に該当しない、いびつな形をした土地

どちらに該当するかについては、法律などによる明確な基準はありません。一般的に、長方形や正方形に整えられた土地は「整形地」、それ以外の形をした土地は「不整形地」と呼ばれています。

三角形や台形をした土地の他、境界線が直線ではなく、でこぼこした形状の土地、隅切りをされたり道路の角に面したりするために斜線が含まれる土地など、さまざまな形の土地が含まれます。

不整形地には、形がいびつなために利用しづらく、その分、評価額が低いという特徴があります。

2.不整形地のメリット

不整形地には以下のようなメリットがあります。

  • 相続税評価額が低い分、相続税も安くなる
  • 形状を生かしたユニークな建物を建てられる
  • 固定資産税も安い

土地の評価額が低いため、課税される税金は安くなる傾向があります。相続税も固定資産税も整形地と比較して安いため、相続しても費用の負担を抑えられるでしょう。

さらに、新しく建築物を建てる場合は、その形状を生かした個性的なデザインにできる可能性もあります。

3.不整形地のデメリット

不整形地には以下のようなデメリットもあります。

  • 活用がしにくく、売却が困難
  • 活用する場合は法律上の制限がある場合もある
  • 活用するのに費用がかかる
  • 住みにくい

不整形地はその形状から利用しにくい土地といえます。接道義務を果たしていない、崖地のために活用できない部分がある、など法律による制限が生じる場合も多くあります。そのため、手放そうと思っても売却が難しいケースが多いでしょう。

活用するにも、整形地にする必要があれば隣地の購入や土地の工事に費用がかかりますし、建物の建設には通常よりも資材費がかかります。家を建てたとしても、採光性や通気性が悪いなど、住みづらさを感じる可能性があるでしょう。

不整形地の代表的な種類

不整形地の中でも、特に多い代表的なものとしては以下のような土地が挙げられます。

1.三角形の土地

いわゆる「三角地」です。1本の道路が二つに別れるところにある三角州のような土地や、区画整理された角地を隅切りしたことで生じた土地などが該当するでしょう。デッドスペースが生じやすく、活用が難しいと思われる傾向がありますが、所在地や一辺の長さなどによっては、その評価額は思うほど下がらないケースもあります。

2.台形の土地

四角形であっても、「台形地」であれば、デッドスペースが生じやすく、評価額も下がりやすい傾向にあります。ただし、個々のケースによって大きく変わり、長方形や正方形に近ければ活用しやすいため、評価額もそれほど下がらず、売却もしやすいでしょう。

3.旗竿地

道路に面する入り口部分の幅が狭く、奥に開けた土地がある、L字型をした土地のことです。旗の付いた竿に似ていることから「旗竿地」と呼ばれます。幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないという接道義務により、建物の建築には制限があることが大きなデメリットです。

4.無道路地

前面に建物があるなどして、接道義務を果たしていない土地です。建物の建築はできませんし、すでに建物のある土地の場合、再建築はできません。

5.傾斜地・崖地

傾斜地とは、傾斜のある土地や、その前後に傾斜がある土地のことです。その角度がより急な場合は「崖地」と呼ばれます。活用するには地盤改良などの工事が必要になるケースもあります。

不整形地の相続税評価額の計算方法

不整形地の評価額は基本的に以下のように計算します。

不整形地の相続税評価額=整形地とした場合の評価額×不整形地補正率

基本的な計算の手順について説明します。

1.整形地とした場合の評価額を求める

まずは不整形地を整形地とした場合の評価額を求めます。その計算方法には以下の2種類があり、どちらを適用するかは地域によります。

  • 路線価方式:道路(路線)に面した宅地1㎡あたりの価額である路線価に、対象の土地の面積を掛けて算出する方法で、主に市街地にある土地に適用される
  • 倍率方式:固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算する方法で、路線価の定められていない土地に適用される

対象の土地の評価方法や路線価、倍率は国税庁公式サイト内の以下のページで確認できます。
参考:路線下図・評価倍率表(国税庁公式サイト)

2.不整形地補正率をかける

不整形地の評価額は、整形地として求めた評価額に、不整形地補正率を掛けて計算した値です。ただし、倍率方式の場合は、不整形地補正率はかけません。路線価による評価の場合のみです。

不整形地補正率は、1.00〜0.60の間の数値で、小さいほど評価額も低くなります。具体的な値は以下の手順で調べます。

  1. 地積区分表で地積区分を調べる
  2. 想定整形地の地積から不整形地の地積を引いた値を想定整形地の地積で割って、かげ地割合を求める
  3. 不整形地補正率表で、不整形地補正率を調べる

地積区分表と不整形地補正率表は、国税庁公式サイト内の以下のページの付表4、付表5で確認できます。

参考:奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外改正)(国税庁公式サイト)

不整形地の4種類の評価方法

不整形地の評価額を計算するには、以下の4種類の方法があります。どの方法を使うかは、その土地の形状によって選択します。計算が非常に複雑なケースが多いので、専門家に相談することをおすすめします。

1.整形地に区分して合計する

下図のように、正方形や長方形など、いくつかの整形地に分割できる土地であれば、分割した土地の評価額を合計してから、不整形地補正率を掛けて計算します。

図は、不整形地の評価(国税庁公式サイト)より引用

2.「計算上の奥行距離」を求めて計算する

下の図のように、幅と奥行きが一定ではない形状の土地などに用いる方法です。「計算上の奥行距離」を算出して求めた想定整形地の評価額に、不整形地補正率と奥行価格補正率を掛けて計算します。「計算上の奥行距離」とは、不整形地の面積を間口の距離で割って求めた値です。

間口の距離がわかれば使えるので、この計算方法を適用できるケースは多いでしょう。

図は、不整形地の評価(国税庁公式サイト)より引用

 3.近似整形地を設定する

長方形や正方形に調整しやすそうな形状の土地に向く方法です。長方形、または正方形を重ねて、はみ出た部分と欠けている部分の面積がほとんど同じであり、かつ、その合計面積ができる限り小さくなるように「近似整形地」を設定して評価額を求めてから、不整形地補正率を掛けて計算します。

先に紹介した計算上の奥行距離を求めて計算する方法と、この方法とではどちらを採用して計算するのがよいかは場合によります。専門家に相談してアドバイスを受けるとよいでしょう。

図は、不整形地の評価(国税庁公式サイト)より引用

 4.近似する整形地と隣接する整形地を合わせ、後から隣接する整形地を引く

旗竿地のような土地に適用することのある評価方法です。下図のように、対象の土地を近似整形地(①)とし、隣接する整形地(②)と合わせた土地について評価額を算出し、その後、隣接する整形地(②)の分の評価額を差し引きします。この差し引きした評価額に不整形地補正率を掛けた計算結果が、対象の土地の評価額です。

図は、不整形地の評価(国税庁公式サイト)より引用

不整形地を相続した場合の注意点

不整形地は整形地よりも相続税評価額が低くなり、相続税額も安くなるというメリットがある一方、申告や計算には少々手間がかかります。また、相続後の扱いが難しいケースもあることにも注意が必要です。

不整形地を相続した場合の注意点について説明します。

1.相続税申告時には評価明細書を添付

相続した土地が不整形地の場合、相続税の申告をする際に、評価明細書を添付する必要があります。これは、対象の土地の相続税評価額をどのように計算したのかを税務署に説明するための書類です。書類の作成はもちろん、評価額の計算自体も難しいため、計算が必要なときは専門家に相談しましょう。

2.相続税額は計算方法によって変わる

不整形地の評価方法は4種類あり、どの方法を用いるのが適当かは土地の形状によって異なります。採用する方法によって相続税評価額が異なり、相続税の額も変わります。

3.相続した不整形地の売却は専門業者に相談を

不整形地を相続しても、うまく活用できないケースは多いようです。「管理の手間がかかるし手放そう」と思っても、なかなか売却できないこともあるでしょう。

早期売却を実現するにはコツがあるので、不整形地の取り扱い実績を豊富に持つ信頼できる業者を探し、早めに売却活動を始めましょう。

まとめ

今回は、不整形地の定義、代表的な種類や評価方法、その計算方法、不整形地の相続に関する注意点などについて解説しました。

不整形地を相続する場合、その評価方法や評価額の計算が難しく、苦労することも多いでしょう。専門知識がなければ、適切に算出することもできないために、相続税の申告で戸惑うことも多いかもしれません。また、相続するかどうかを決められず、相続手続きを進められないこともあるでしょう。そのような場合は、専門家の力を借りることをおすすめします。

当社では、不動産相続に関するさまざまな相談に対応しております。不整形地の相続に関する相談にも応じておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

井上 悠一

クラッチ不動産株式会社代表取締役。一般社団法人住宅ローン滞納問題相談室代表理事。立命館大学法科大学院修了。司法試験を断念し、不動産業界に就職。住友不動産販売株式会社株式会社中央プランナーを経て独立、現在に致る。幻冬舎より「あなたを住宅ローン危機から救う方法」を出版。全国住宅ローン救済・任意売却支援協会の理事も務める。住宅ローンに困った方へのアドバイスをライフワークとする。
監修者: 井上 悠一